初期胚の分割は将来の胚発生に関する重要なステップ

今回ご紹介する論文は、
ヒト初期胚の第2細胞分裂における紡錘体の形態と染色体分離の様子を詳しく観察したものです。初期胚の分割は、将来の胚発生に影響する重要なステップです。
本研究では、
凍結融解した21個の胚を用いて、第2分裂のDNAとチューブリンをライブセルイメージング(細胞を生きたまま観察すること)で観察し、紡錘体の形態や染色体分離の様子を明らかにしました。
さらにPGT-Aの結果から胚盤胞期の染色体異数性との関連を調べています。
結果
①ライブセルイメージングにより、第2分裂の紡錘体の形態、染色体分離のパターン、娘細胞の核の状態が観察されました。

上図 第2分裂のパターンと、分割後の核の状態
第2分裂における紡錘体極には2つのパターンがあり、一部の割球では紡錘体極が2つであったのに対し、他の割球では3つの紡錘体極が形成されていました。
(A) 第2分裂で2極性の紡錘体を形成した割球では、分割後に形成された娘細胞の78.6%が単核でした。
(B) 3極性の紡錘体を形成した7個のすべての割球では、第2分裂後に形成された娘細胞のうち少なくとも1つに多核が認められました。
②また多核化率が第1分裂(56%)に比べて第2分裂では有意に低かった(22%)ことが明らかになりました。

③2極性の紡錘体をもつ割球は多核や染色体分離エラーの頻度が低いことが分かりました。
④さらに、胚盤胞まで発生した胚について、2細胞期・4細胞期の核の状態とPGT-A結果に関連は見られませんでした。

研究の結果から、第2分裂で形成される紡錘体は、第1分裂よりも機能的に安定している可能性が示唆されました。さらにこれまで第1分裂はエラーが起こりやすいと報告されてきましたが、本研究は第2分裂でそのエラーが修復され得ることを示しています。またこうしたエラーと修復は、第2分裂以降の発生段階でも続く可能性があることが分かりました。
初期胚の観察時、しばしば多核が観察されることがあります。しかしそれ以降修復される可能性があることから凍結・移植胚の選択において新しいヒントになるかもしれません。
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この記事を書いた人
培養士さん
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