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体外受精とは?治療にかかる費用やメリット・デメリットを詳しく解説

INDEX 目次

不妊治療に取り組んでいる方の中には、なかなか結果が出ずに悩んでいる方もいるのではないでしょうか。今の治療を続けるのか、別の治療法にステップアップしたほうがよいのか、検討している段階かもしれません。

体外受精は、採取した卵子と精子を体の外で受精させることで、自然妊娠が難しい場合でも妊娠の可能性を高められる治療法です。この記事では、体外受精の仕組みや治療の流れ、費用、メリット・デメリットについてわかりやすく解説します。体外受精をするかどうか迷っている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

体外受精は卵子と精子を体外で受精させる不妊治療

一般的には妊娠を希望しているのに、1年以上経っても妊娠に至らない状態を「不妊」といいます。不妊の原因は、女性側・男性側どちらか、または両方に見られることもあります。しかし、全体の約3〜4割は、はっきりとした原因が見つからない不妊です。

不妊治療は、まずは排卵や精子の状態を確認しながら、タイミング法や人工授精など、比較的体への負担が少ない方法から始めるのが一般的です。それでもなかなか結果が出ない場合や、卵管の詰まりがあったり精子の状態に問題があったりする場合、次のステップとして体外受精(IVF)が検討されます。

体外受精とは、採取した卵子と精子を体の外で受精させ、その受精卵(胚)を子宮に戻す治療法です。自然な受精の流れを医療の力でサポートすることで、妊娠の可能性を高める方法といえます。

体外受精で妊娠する確率は年齢により異なる

体外受精による妊娠率は、年齢によって大きく変わります。一般的に、卵子の質は年齢とともに低下していくため、同じ治療を行っても妊娠できる確率には差が生じます。

日本産婦人科学会のデータによると、体外受精1回あたりの妊娠率は、34歳以下では50%前後ですが、40歳を超えると30%程度、43歳以上では20%以下です。流産のリスクも年齢とともに上昇し、40代では約3割以上にのぼっています。

ただし、これはあくまで統計上の数値です。個人の体調や卵巣機能、治療の進め方によって結果は異なります。年齢だけで判断せず、医師と相談しながら自分に合った治療方針を立てることが大切です。

出典:日本産婦人科学会「ARTデータブック 2023」(PDF)  
https://www.jsog.or.jp/activity/art/2023_JSOG-ART.pdf

体外受精の費用は保険適用の有無により変動する

体外受精にかかる費用は、保険が適用されるかどうかによって大きく変わります。2022年4月から、体外受精をはじめとした一部の不妊治療が保険適用になりました。従来はすべて自己負担だった治療の多くが、保険診療で受けられるようになっています。保険診療の場合、自費診療と比較して治療の選択肢は限定的ですが、費用は自費診療の半額以下から3分の1程度まで抑えられるケースが多くあります。

体外受精を保険適用で受けられる条件は、以下の通りです。

  • 治療開始時において、女性の年齢が43歳未満

  • 初めての治療開始時に女性の年齢が40歳未満の場合、1子ごとに6回まで胚移植可能

  • 初めての治療開始時に女性の年齢が40歳以上43歳未満の場合、1子ごとに3回まで胚移植可能

保険適用の場合、窓口負担は治療費全体の3割です。高額療養費制度を活用すれば、一定額を超えた分の医療費が後から払い戻されるため、経済的な負担をさらに軽減できます。

出典:こども家庭庁「不妊治療が保険適用されています。」(2023年4月1日)https://www.cfa.go.jp/assets/contents/.../20230401_policies_boshihoken_funin_01.pdf

体外受精を選択する4つのメリット

体外受精の代表的な4つのメリットを紹介します。

  • 卵管が原因の不妊でも妊娠の可能性がある

  • 人工授精よりも受精率が高い

  • 複数の受精卵を確保できる

  • 妊娠しやすい受精卵を選別できる

それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

卵管が原因の不妊でも妊娠の可能性がある

卵管が詰まっている場合や、排卵された卵子を卵管がうまくキャッチできない場合、卵子が子宮にたどり着けず、妊娠が難しくなってしまいます。体外受精では、卵子を卵巣から直接採取して精子と受精させることで、自然妊娠が難しい場合でも妊娠のチャンスを作ることが可能です。

人工授精よりも受精率が高い

人工授精は、子宮の中に精子を注入し、自然な受精をサポートする治療法です。人工授精では、精子が自力で卵子のもとまで泳いでいき、受精する必要があります。

一方、体外受精では、採取した卵子と精子を体の外で直接出会わせます。精子が卵子にたどり着くまでの過程を医療の力でサポートできるため、受精の確率が高まりやすいのが特徴です。人工授精で結果が出なかった場合でも、体外受精によって妊娠の可能性が高まるケースがあります。

複数の受精卵を確保できる

体外受精では、1回の採卵で複数の卵子を採取できることがあります。複数の卵子をそれぞれ受精させることで、複数の受精卵(胚)を得られる可能性があります。受精卵は凍結保存ができ、次回以降の移植で使用可能です。

1回の採卵で得られた卵子を受精させて、複数の受精卵を凍結保存しておくことで、採卵の回数を減らし、身体への負担を軽くできるのがメリットです。受精卵の発育状況を観察しながら、より良好な状態の胚を選んで移植することも可能です。

妊娠しやすい受精卵を選別できる

年齢を重ねるにつれて卵子の質は徐々に低下し、妊娠の確率が下がってしまいます。しかし、体外受精は体の外で複数の受精卵(胚)を育て、良好な状態の胚を選んで移植することが可能です。妊娠しやすい状態の胚を体の外で選別してから体内に戻すことで、自然妊娠よりも妊娠の可能性を高められます。

体外受精を行う3つのデメリット

体外受精には多くのメリットがありますが、治療を始める前に知っておきたい注意点もあります。体外受精を行う際に考えられるデメリットを3つ解説します。

  • 女性の身体に負担がかかる

  • 経済的・時間的な負担が大きい

  • 精神的なストレスがかかる

それぞれのデメリットについて、詳しく見ていきましょう。

女性の身体に負担がかかる

体外受精では、同時に複数の卵子を育てるために、排卵誘発剤を使用して卵巣を刺激します。複数回の注射が必要になることもあり、注射による痛みや内出血などを生じる可能性があります。

採卵の際は卵巣に針を刺して卵子を取り出すため、身体に負担のかかる治療であることを理解しておきましょう。採卵時は局所麻酔や静脈麻酔を使用して痛みを和らげますが、人によっては痛みを感じたり、出血を伴ったりすることがあります。採血や超音波検査などの通院回数も多く、体力的にも負担を感じやすいかもしれません。なお当院では、基本的に採卵時は局所麻酔を使用します。しかし、患者様からのご要望に合わせて、静脈麻酔を選択することも可能です。

経済的・時間的な負担が大きい

体外受精は、1回の治療が採卵・受精・移植と複数のステップに分かれており、複数回の通院が必要になります。通院のタイミングも、生理周期に合わせる必要があり、仕事や家事との両立が難しいと感じる方も少なくありません。


また、体外受精は条件によっては保険適用にならない場合もあり、経済的な負担を感じることもあります。保険適用であっても、回数を重ねるごとに経済的な負担は大きくなっていきます。

精神的なストレスがかかる

体外受精は、精神的なストレスも感じやすい治療です。採卵や移植の結果が思うようにいかないと落ち込んでしまい、治療の経過に一喜一憂しやすくなる傾向があります。

通院や自己注射など、不妊治療が生活の中心になりやすく、仕事やプライベートとの両立に悩むケースもあります。パートナーや家族との関係性に影響することもあるため、心のケアも大切にしながら治療を進めることが重要です。

体外受精へのステップアップは主治医と念入りに相談を

体外受精に進むタイミングは、年齢やこれまでの治療経過、不妊の原因などによって異なります。タイミング法や人工授精で一定期間妊娠に至らなかった場合、次のステップとして体外受精を検討するケースが多く見られます。

一般的には、人工授精を5〜6回行っても結果が出ない場合や、卵管の詰まりがある場合、精子の数や運動率に問題があるなどの場合は、体外受精へのステップアップを検討します。女性の年齢が高くなるほど卵子の質が低下するため、状況によっては早めの判断が重要になることもあるでしょう。

どのタイミングで体外受精に進むかは、医師と相談しながら決めていくことが大切です。検査結果や年齢、今後の治療方針などをふまえ、納得できる形で次のステップを選択してください。

体外受精の一般的なスケジュール

体外受精の一般的なスケジュールを解説します。どのような流れで治療が進むのかを知っておきましょう。

事前検査

体外受精を始める前に、採血や超音波(エコー)検査を行います。採血ではホルモンの値を確認し、卵巣の働きや排卵の状態を把握します。エコー検査では、子宮や卵巣の形、卵胞の発育状況などを確認します。

卵巣刺激

排卵誘発剤を使って卵巣を刺激し、複数の卵子を育てます。卵胞の発育具合を超音波検査などで確認しながら、採卵のタイミングを調整します。

採卵・採精

卵胞が十分に育ったタイミングで、卵子を採取します。採卵は局所麻酔下で行われ、同日にパートナーの精子を採取します。

受精・培養

採取した卵子と精子は、体の外で受精させます。受精の方法は2種類あります。

ふりかけ法は、卵子が入った培養液に精子を入れて自然に受精させる方法です。精子に問題がなければ、ふりかけ法から実施します。精子の数が少ない・運動率が低いなどの理由で受精しにくい場合は、顕微鏡を使って1個の精子を卵子に直接注入する顕微授精(ICSI)が最適です。

どちらの方法を用いるかは、採取した卵子の状態や、これまでの受精結果、精子の状態などをふまえて医師が判断します。受精後は、受精卵(胚)を数日間培養液の中で培養します。

胚移植

良好に育った受精卵を子宮内に戻します。採卵と同じ周期(新鮮胚移植)で行う場合もあれば、受精卵を凍結し、次の周期以降に移植する(凍結融解胚移植)場合もあります。

判定

胚移植から約2週間後に妊娠検査を行い、治療結果を確認します。

体外受精に関するよくある質問

体外受精に関してよく聞かれる質問に回答します。

Q1:体外受精をするにあたって、痛みはありますか?

排卵誘発の注射や採卵の際に痛みを感じることがあります。採卵時は局所麻酔や静脈麻酔を使用して行うため、強い痛みを感じることはあまりありません。しかし、人によっては下腹部の張りや軽い痛みを感じる場合もあります。

Q2:体外受精で妊娠した場合、出産予定日はいつになりますか?

特定された排卵日を妊娠2週0日として起算し、出産予定日を算出するのが一般的です。凍結胚移植の場合は、移植された胚の発育段階(培養日数)を考慮して排卵日を特定します。4細胞胚では移植日の2日前、8細胞胚では3日前、胚盤胞では5日前を排卵日として計算します。

Q3:体外受精で授かった子どもは、発達障害になりやすいですか?

体外受精と発達障害との間に、明確な因果関係は認められていません。

Q4:体外受精で双子を授かることはありますか?

体外受精では、一卵性双生児を授かる可能性があり、自然妊娠よりも確率はやや高いとされています。

Q5:体外受精の不妊治療と仕事は両立できますか?

採卵日や胚移植日、注射や診察などのため、一定の通院が必要です。仕事との両立が難しく感じることもありますが、フレックスタイムやリモートワークを活用して治療を続ける方も多くいます。クリニックによっては、待ち時間に仕事ができるよう、PCテーブルやWi-Fi、電源タップなどが用意されているところもあります。ぜひクリニック選びの参考にしてみてください。当院も、クリニック内で仕事ができるよう設備を整えています。

厚生労働省では、不妊治療を職場に伝える際に活用できる「不妊治療連絡カード」を公開しています。治療内容を詳しく話さなくても、必要な配慮を職場に伝えやすくなるため、仕事と治療を両立したい方のサポートに役立つでしょう。

体外受精を検討している方は両角レディースクリニックへご相談ください

不妊治療は、年齢や体の状態、これまでの治療経過などをふまえて、最適な治療方法を検討することが大切です。現在の治療から体外受精にステップアップするかどうかを迷っている方は、ぜひ気軽にご相談ください。来院するのにハードルが高いと感じる方は、オンラインでの相談も承っています。不安や疑問も一緒に解消していきましょう。

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