慢性子宮内膜炎と最新の知見について
近年の研究により、生殖医療の分野では新しい知見が次々と明らかになっています。
その中でも重要なのが、慢性子宮内膜炎と子宮内細菌叢(マイクロバイオーム)の関係です。
抗生剤治療の「その後」が重要
慢性子宮内膜炎に対しては、抗生剤による治療が行われます。
抗生剤を使用することで原因菌は死滅しますが、同時に子宮内で防御的な役割を担っている善玉菌(乳酸菌)も減少してしまいます。
乳酸菌が不足すると、子宮内の抵抗力が低下し、再び細菌が繁殖しやすい環境になります。
その結果、妊娠率の低下につながる可能性があります。
そのため、抗生剤治療後には乳酸菌の補充が重要になります。
乳酸菌の補充方法
乳酸菌を食品から補おうとすると、大量摂取が必要であり、さらに子宮内へ届くまでには時間がかかります。
その点、経膣的に乳酸菌を補充する方法は、より直接的で即効性が期待できるアプローチと考えられます。
強力な抗生剤を漫然と使用することは、膣内・子宮内の細菌叢のバランスを崩し、防御力の低下を招く可能性があります。
そのため、
・感受性検査に基づいた抗生剤を選択する
・必要最小限でピンポイントに治療する
・治療後に乳酸菌を補充する
という流れが理想的です。
抗生剤以外の選択肢
① MVAキットを用いた吸引法
当院では、MVAキットによる吸引法を採用しています。
内膜へのダメージを最小限に抑えながら、子宮内膜全体を丁寧に吸引する方法です。
この治療は身体的負担が少なく、抗生剤に抵抗性を示す慢性内膜炎に対しても効果が期待できる方法です。
② 腹腔鏡手術
慢性炎症は子宮内膜だけの問題とは限りません。
卵管や腹腔内の炎症が影響しているケースもあります。
腹腔鏡手術では、卵管・腹腔内を含めた骨盤内全体を洗浄・処置するため、
環境改善という意味で効果が出やすい場合があります。
最も大切なこと ― 生活習慣の見直し
そして、何より大切なのは生活習慣の改善です。
慢性炎症は、感染だけでなく、
・睡眠不足
・過度なストレス
・食生活の乱れ
・運動不足
・喫煙や過度の飲酒
といったライフスタイルの影響を受けることが少なくありません。
医療的介入も重要ですが、
根本的な体質改善は日々の生活の積み重ねによって左右されます。
慢性子宮内膜炎の治療は、
原因菌を的確に除去する
善玉菌を補充し環境を整える
必要に応じて機械的・外科的に炎症環境を改善する
生活習慣を整える
という多角的なアプローチが重要です。
一つの方法だけに頼るのではなく、全体を整えていくこと。
それが妊娠率向上への近道だと考えています。
参考資料
https://morozumi-lc.com/pdf/webinar_33.pdf
https://www.morozumi-lc.com/webinar_36.pdf
可能性がございます。
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