LINEで初診予約
院長コラム

なぜ着床しない?反復着床不全と「免疫」の深い関係|タクロリムス治療の考え方

INDEX 目次

良好な胚を何度も移植しているのに、なかなか妊娠に至らない。
いわゆる「反復着床不全(RIF)」は、不妊治療において非常に難しい課題の一つです。

これまで、着床不全の原因は「胚(受精卵)の質」「子宮内膜の厚さ」が主な要因と考えられてきました。しかし近年、第3の要因として注目されているのが「母体側の免疫システム」です。

今回は、免疫の観点から見た着床の仕組みと、当院が採用している「タクロリムス療法」の考え方について解説します。

妊娠は「奇跡的な免疫のバランス」で成り立っている

本来、私たちの体には、自分以外の異物(細菌やウイルスなど)を排除する「免疫」という仕組みが備わっています。

お腹の子ども(胎児)は、お父さん由来の遺伝子を半分持っているため、母体にとっては「半分は異物」といえます。それなのに排除されずに育つことができるのは、母体の免疫が一時的に調整され、赤ちゃんを受け入れる特別な状態(免疫寛容)になるからです。

鍵を握る「Th1/Th2」のバランス

この免疫の調整役を担うのが、ヘルパーT細胞と呼ばれる細胞です。

  • Th1: 攻撃的な免疫反応を強める
  • Th2: 免疫を抑制し、妊娠を維持する方向に働く

通常、妊娠成立時には「Th2優位」の状態が望ましいとされています。しかし、一部の患者様ではこのバランスが崩れ、Th1が優位(攻撃的)になりすぎることで、胚を異物として排除してしまっている可能性が指摘されています。

免疫抑制薬「タクロリムス」による治療とは

こうした免疫の過剰反応を抑えるために検討されるのが、タクロリムスというお薬です。
もともとは臓器移植後の拒絶反応を抑えるための薬ですが、着床における免疫バランスの調整にも応用されています。

国内の先進医療に基づいた治療プロトコール

当院では、患者様の安全性を最優先し、日本国内で「先進医療」として有効性と安全性が評価されたプロトコールを元にタクロリムス治療を行っています。

  • 投与期間 胚移植の2日前から開始し、移植後を含めた計16日間の期間限定で内服します。
  • 根拠に基づいた処方: この方法は、短期間・低用量の使用により、母体や胎児への大きな副作用を抑えつつ、一定の条件下で妊娠率の改善が示唆されている確立された手法です。

「すべての方」ではなく「適切な方」への選択肢として

タクロリムス療法は、反復着床不全のすべての方に有効なわけではありません。免疫異常がどの程度関与しているかを正確に判断することは、現代医学でもまだ容易ではないからです。
また、現時点では標準治療として確立されたものではなく、あくまで選択的に検討される治療と位置づけられています。

そのため当院では、このような点を踏まえ、タクロリムス治療を「すべての方に行う治療」ではなく、「適切な症例に対して慎重に提案する選択肢」として位置づけています。

当院のこだわり:安全性と責任ある医療

私たちは、治療の透明性と安全性を担保するため、以下の原則を徹底しています。

  1. 先進医療プロトコールの遵守: 独自の判断ではなく、国内の研究で妥当性が示された基準に則って実施します。
  2. 期間限定の投与: 妊娠後の長期投与を前提とせず、移植周期内の決まった期間で完結させることで、安全な管理を重視しています。
  3. 多角的な判断: 免疫はあくまで要因の一つです。胚、子宮環境、ホルモンバランスなど、総合的な視点から「この治療が本当に必要か」を慎重に判断いたします。

新たな可能性を、納得のいく形で

反復着床不全の原因は複雑に絡み合っています。しかし、「免疫」という視点を持つことで、これまでの治療で結果が出なかった方にも新たな道が開けるかもしれません。

過度な期待や不必要な治療は避けつつ、科学的な根拠に基づいた適切な治療を提案すること。それが私たちの使命だと考えています。

「これまでの治療を振り返り、次のステップを考えたい」という方は、ぜひ一度診察時にご相談ください。

背景画像 背景画像
当日予約もお取りできる
可能性がございます。
03-5159-1101
 当日枠 月~金 14:00/土曜 12:00/祝日 10:00
お電話受付終了時間 月~金 18:30/土曜 17:30/祝日 13:30