論文紹介 PGT-Aの結果と胚のタイムラプス分析について②

こんにちは。培養室です🐟
前回に続き、PGT-Aに関する論文をご紹介します。
前回の記事はこちら
https://www.morozumi-lc.com/column/2026-07-16
この論文ではPGT-Aで「正倍数体」、「モザイク」、「異数体」と判定された胚の発育スピード、形態、KIDScoreを比較し、モザイク胚の割合や種類との関連性に焦点を当てて分析しています。
主な結果
①:形態運動
●初期分割期
モザイク胚は正倍数体胚より初期分割で有意な遅延がありました。
モザイク胚は異数体胚より初期分割で有意に速く発育しました。
→モザイク胚は中間的な性質をもつことが分かりました。
●胚盤胞期
異数体胚は 桑実胚~胚盤胞形成過程で有意な遅延が見られました。
正倍数体胚は最も良好な発生速度と形態を示しました。
異数体胚はモザイク胚よりもグレードの低い胚盤胞が多いことが分かりました。
②:モザイク胚レベル別の影響(低頻度/高頻度)
低頻度モザイク胚
• 低頻度モザイク胚は正倍数体胚より初期分割(前核消失と2細胞分割)で有意な遅延がありました。低頻度モザイク胚は異数体胚よりコンパクションから胚盤胞形成まで有意に速く発育しました。
高頻度モザイク胚
• 高頻度モザイク胚は正倍数体胚より7細胞分割において有意な遅延がありました。
• 高頻度モザイク胚は異数体胚より胚盤胞形成の開始以降で有意に速く発育しました。
→異数性細胞の数が増えるにつれて、異数体胚とのギャップが小さくなることが分かりました。
③:モザイク胚タイプ別の影響(部分/複雑)
• 部分モザイク胚は複雑なモザイク胚より桑実胚形成と胚盤胞完成で有意に速く発育しました。
→モザイクの複雑さが増すにつれて、胚盤胞への発育に遅れがみられました。
④:KIDScoreスコア
• 正倍数体胚 → 低頻度モザイク胚 → 高頻度モザイク胚 → 異数体胚 の順に有意に低下しました。
• 部分モザイク胚→複雑なモザイク胚の順で低くなりました。
• ただし KIDScoreの差が臨床成績と必ずしも相関するとは限りませんでした。
⑤:臨床成績(着床率、継続妊娠/生児出産率)
• 正倍数体胚/高頻度モザイク胚、正倍数体胚/部分モザイク胚と、異数性胚/複雑なモザイク胚の間に有意な差がありました。
• モザイク胚の頻度が高いほど臨床成績は低下しましたが、 高頻度モザイク胚でも出産につながる可能性があり注意が必要です。
⑥:同じPGT-Aの結果での KIDScoreと臨床成績の関連
• 同じ正倍数体胚では KIDScore と着床率、継続妊娠/生児出産率 に相関関係がみられました。
• 同じ低頻度モザイク胚ではKIDScoreが低い群は中間群と比較して着床率、継続妊娠/生児出産率が有意に低いことが示されました。
→PGT-Aの結果が同じである中から胚の選択をする際にKIDScoreが補助的な情報になり得る可能性が示されました。
まとめ
胚の形態、形態動態、染色体構成が互いに密接に関与しており、KIDScoreがその相互作用を反映していることが示されました。
また、KIDScoreが、PGT-Aの結果が同一である胚を選択する際の補助的な情報として有用であることが分かりました。
特にモザイク胚では染色体異常の頻度や複雑さが増すほど発育に影響を及ぼすことが示されました。
今回ご紹介した論文では、胚の発育スピードや形態、染色体の状態は互いに影響し合っており、その特徴を総合的の判断が重要であること、さらにKIDScoreの有用性が分かる研究でした。
なにか気になる事、ご質問等ございましたらいつでもスタッフにお声掛けください。
【引用文献】
Listorti I, Pirastu G, Ruberti A, Barberi M, Pristerà A, Zazzaro V, Spinella F, Varricchio MT, Viotti M, Greco E, Greco P. Time-lapse analysis of embryos classified as euploid, mosaic, and aneuploid after embryonic trophectoderm biopsy. J Assist Reprod Genet. 2025 Jan;42(1):125-138. doi: 10.1007/s10815-024-03364-7. Epub 2025 Jan 20. PMID: 39832027; PMCID: PMC11806175.
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