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院長コラム

凍結精子でも成績は変わらない? 論文を読んで感じた違和感

凍結精子でも成績は変わらない? 論文を読んで感じた違和感
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先日、正常精液の男性を対象に、新鮮精子と凍結精子を用いた顕微授精(ICSI)の成績を比較した興味深い論文を読みました。

約8,000周期を対象とした大規模研究で、「新鮮精子ICSIと凍結精子ICSIの間で出生率に有意差は認められず、正常精液男性では凍結精子を用いたICSIでも十分良好な成績が得られること」が示されました。


この結果は、仕事や海外赴任など様々な事情で採卵日に来院できない患者さんにとって安心材料になると思います。実際、現在の生殖医療では精子凍結は広く行われており、多くの患者さんがその恩恵を受けています。


一方で、私は開業以来14年間、説明会などで「できるだけ院内で採精してください」とお話ししてきました。

その理由は、できるだけ良い状態の精子で治療を行いたいからです。

精子は採取後の時間経過や温度変化の影響を受けます。また凍結融解によっても運動率や生存率の低下が起こることが知られています。

私は以前から、妊娠率を高めコストを削減するために、正常精液の患者さんであれば、まずは通常体外受精(IVF)を大切にしたいと考えています。そのためには、できるだけ良い状態の精子を使用することが重要です。院内採精をお願いしているのも、患者さんに負担をおかけしていることは重々承知の上、より良い精子の状態でIVFを行い妊娠率を高めたいからです。

もちろん仕事や海外在住など様々な事情がありますので、凍結精子や持ち込み精子を否定するつもりはありません。実際にそれによって多くの患者さんが妊娠・出産されています。


しかし、もし選択できるのであれば、採卵当日に院内で採精した新鮮な精子を用いて、良い条件でIVFを行うことが理想的だと考えています。

医療技術が進歩した今だからこそ、ICSIという技術に安易に頼る前に、まずはできる限り良い条件で精子を用意し最適な治療を行うことが大切だと考えています。


[参考文献]
Sperm cryopreservation does not affect live birth rate in normozoospermic men: analysis of 7969 oocyte donation cycles
Human Reproduction. 2023;38(3):400-407.

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