高齢不妊治療で大切なこと—「卵子が望む治療」という視点
東京都中央区・銀座エリアで不妊治療を行う、両角レディースクリニックです。
不妊治療はこの20年で劇的な進化を遂げました。
顕微授精(ICSI)、胚盤胞培養、PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)など、以前では想像もできなかった高度な技術が次々と登場し、多くの方がその恩恵を受けています。
しかし、特に高齢の方の不妊治療において、私は常に自問自答していることがあります。
それは、「その高度な治療を、卵子自身が本当に望んでいるのか?」ということです。
1. 高齢の卵子にかかる「技術」という負担
年齢とともに卵子の質が変化していくことは、生物学的な現実です。
繊細で弱くなってしまった卵子に対して、以下のような操作を加えることは、時に大きな負担となる場合があります。
・顕微授精による物理的な侵襲(刺激)
・長期間におよぶ胚盤胞培養のストレス
・胚生検を伴うPGT-Aの操作
もちろん、これらの技術が必要なケースは多々ありますし、それによって救われる方も大勢いらっしゃいます。
しかし、「高齢だからこそ最新技術をすべて盛り込む」という足し算の医療が、必ずしも卵子の力を最大限に引き出す結果に繋がるとは限りません。
2. 自然の力を活かす「卵子に優しい不妊治療」とは
長年、生殖医療の最前線に身を置く中で、私は「卵子がしてほしい治療は何か」を最優先に考えるようになりました。
当院では、無理に技術を上乗せするのではなく、以下のような「卵子の本来の力を活かすアプローチ」を大切にしています。
・精子の状態を整える: ご主人の生活習慣改善や院内採精により、最良の状態で受精に備える。
・体外受精(ふりかけ法)の選択: 可能であれば、過度な操作を加えない自然な受精を目指す。
・初期胚移植の検討: 胚盤胞まで育てるストレスを避け、早い段階で「お母さんの子宮」という最適な環境に戻す。
こうした「卵子の声に耳を傾ける」優しい流れの方が、結果として良好な妊娠に結びつくことを、私は臨床の現場で何度も経験してきました。
3. ハワイ大学・柳町隆造先生から学んだ生殖医療の本質
私が20年前、ハワイ大学で研究に従事していた頃、恩師である柳町隆造先生から繰り返し教わった言葉があります。
『技術は素晴らしい。しかし、技術を使えば使うほど良いわけではない。自然の力をどう活かすかこそが生殖医療の本質なのだ。産婦人科医なのだからここで学んだことを臨床で実践しなさい。』
この教えは、今でも私の診療の核となっています。
「できることを全部やる」のではなく、「その卵子に本当に必要なことだけを見極める」。
これこそが、患者様に寄り添った本質的な医療であると信じています。
ハワイ大学での研究経験についてはこちら↓

4. 医療側の理想ではなく、患者様(卵子)のために
不妊治療が複雑化し、費用負担も増大する中で、「高度なオプションを追加すること」が前向きな選択肢に見えがちです。
しかし、高齢不妊治療における卵子は非常にデリケートです。
当院では、技術競争に走るのではなく、「卵子が何を望んでいるか」を第一に考えます。
卵子の力をできるだけ自然に引き出すことが、最終的に患者様が笑顔になれる最短ルートになると考えているからです。
【お知らせ】オンライン説明会のご案内
次回のオンライン説明会では、本コラムのテーマをより深く掘り下げてお話しいたします。
日時: 6月20日(土)17:00〜
テーマ: 「卵がしてほしい治療は何か」
不妊治療にお悩みの方、自分に合った治療法を模索されている方は、ぜひお気軽にご参加ください。

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