メラトニンを補給することで治療成績にどのような影響があるか!?
こんにちは。培養室です🐟
今回は、生殖補助医療におけるメラトニン💊に関する論文をご紹介します。
メラトニンは「睡眠ホルモン」として知られていますが、強い抗酸化作用を持ち、不妊治療の領域でも卵子の成熟や胚の発育をサポートするサプリメントとして使用されています。
今回ご紹介する論文は、2008年~2019年に報告された11件の前向き研究(計1,241名のデータ)を対象に、メラトニンを補給することで治療成績にどのような影響があるかを検討したシステマティックレビューおよびメタ解析です。
論文内では、メラトニン補給によって以下のような改善傾向が示されています。
■メラトニン補給で改善がみられた項目
① 全体としての臨床妊娠率
複数の研究データを統合した解析において、有意な臨床妊娠率の向上が認められました。
しかし各サブグループ別に分けた解析では有意差はありませんでした。

② 受精率
メラトニンを服用したグループでは、受精率に有意な改善がみられました。

③ 成熟卵数
採卵時に獲得できた成熟卵(MII卵)の数が有意に増加しました。

④ 最良好胚数
質の良い胚(最良好胚)の数が有意に増加しました。
■一方で、有意差がなかった項目もありました。
・生児獲得率(出産率)
・流産率
・総採卵数(獲得できる卵子の総数)
■サブグループ解析での比較
患者様の背景別に詳しく解析したデータでは、以下のような特徴が見られました。
・PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の場合
メラトニン補給により、成熟卵数の有意な増加が認められました。
・卵巣機能が正常な場合
成熟卵数の有意差はありませんでした。
■なぜメラトニンが効果的なのか?
不妊治療の過程(採卵や培養など)において、卵子や胚は体外の環境や活性酸素(酸化ストレス)によるダメージを受けやすく、これが質の低下につながることがあります。
メラトニンは強い抗酸化作用を持ち、さらに
・顆粒膜細胞や卵母細胞、胚にメラトニンの受容体があること
・両親媒性であり細胞膜を通り抜けやすいこと
・代謝されてもプロオキシダント(酸化を促進する物質)にならないこと
・睡眠改善や不安軽減などの副次的な効果が治療にプラスに働く可能性があること
等の性質から、今回の結果に寄与しているのではないかと考察されています。
■結論
メラトニンの持つ抗酸化作用は、特にPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の女性や、過去に卵子の質や受精率が低い既往歴があった方において、良いアプローチとなる可能性が示唆されています。
■まとめ
不妊治療の培養環境における酸化ストレスをできる限り少なくすることはとても重要な課題であるため、今回の論文は培養室の視点からも最適な培養環境の重要性を再認識するものでした。なにか気になる事、お聞きしたいことがあればスタッフにお気軽にお尋ねください。
■引用文献
Tang, H., Hao, J., Xu, B. et al.メラトニン補給と生殖補助医療の成果:系統的レビューとメタ分析。BMC Pregnancy Childbirth 26 , 9 (2026).https://doi.org/10.1186/s12884-025-08503-1
可能性がございます。
お電話受付終了時間 月~金 18:30/土曜 17:30/祝日 13:30